ジャック ラカン — その人 と その教え
Jacques Lacan — sa personne et son enseignement
2022-2023年度,わたしは,東京ラカン塾のセミネールを 行いません.その理由は,執筆に集中するためです(精神分析の臨床は 継続します).
現在,わたしは,『ハィデガーとラカン』(執筆は 2019年,出版は 2020年01月)より後に得られた成果を一冊の本にまとめる作業に 取り組んでいます.その本は『ラカンの教え
I — 晩年:ボロメオ結びの時期』と題される予定です.
2020-2021年度以来,わたしは,ラカンの歩みを 反時系列的に たどり直してきました — 否定存在論的孔穴の周りを 終始 回り続けた ラカンは,最晩年においてこそ,その穴に
最も 肉薄し得たはずだ,という仮定のもとに.そして,その方法論は適切であった と わたしは思っています;なぜなら,最晩年のラカンの教えから出発することによって,今や,我々は,ラカンの教えの全体像を把握することができたからです.
今は,その成果を 本にまとめることが 先決です — セミネール XX Encore から出発して,それ以前のセミネールへ遡ってゆく たどり直しの作業を
続けることよりも.
皆さんの御理解を お願いします.そして,執筆が順調に進むよう,わたしのために お祈りください.
もし執筆が順調に進めば,年度途中でセミネールを再開するかもしれません.そのときには,改めて通知します.
2022年11月01日(諸聖人の祭日)
小笠原 晋也
小笠原 晋也 著 :『ハィデガー と ラカン』(青土社)
小笠原 晋也 著『ハィデガー と ラカン — 精神分析の純粋基礎としての 否定存在論 と そのトポロジー』(青土社)
目次:
緒言
序
§ 1. 否定存在論的トポロジーの導入
§ 2. ハィデガーの思考 と 否定存在論的トポロジー
§ 3. 異状の否定存在論的構造
§ 4. 異状から昇華へ — 精神分析の倫理
§ 5. 女性性について
§ 6. ジャックアラン ミレールを 批判する — 彼のラカン読解とセミネール編纂の誤りについて