Workshop

2016年10月16日に,特別企画として,ラカン読解ワークショップが初めて行われました.しかし,Lacan のテクストをみずから読解しようと思う者がそうし得るようになるためには,常日頃から読解の訓練を積み重ねて行く必要があります.

そこで,毎週金曜日の東京ラカン塾精神分析セミネールのうち,毎月最終回を workshop の形で行うことにしました.日程はセミネール予定表を御覧ください.

参加者のうち予め指定された 2, 3 人が,Lacan の原文テクストのおよそ一頁分を読むための予習をし,workshop の場で読解を試みます.そして,わたしが適宜,Lacan と精神分析にかかわることだけでなく,フランス語の文法や発音に関しても,初学者向けに解説と助言を加えます.

用いられるテクストは,Ecrits に収録されている L'instance de la lettre dans l'inconscient freudien ou la raison depuis Freud [無意識における文字の機関,または,フロィト以来の理性]です.1957年に Sorbonne の講堂で哲学や文学の学生や研究者のために為されたこの講演において,Lacan は,ひとつの言語として構造化されている無意識における文字の構造論的およびトポロジー的機能について改めて論じ,また,有名な métaphore と métonymie の概念を導入しています.Les grands textes de Lacan [ラカンの書のうちで量的にも質的にも特に重要なテクスト]のうちに数え入れられるこの『文字の機関』は,Lacan を学ぶ者にとって必読の書のひとつです.

フランス語原文,および,参考のために,英訳と邦訳のテクストは,こちらから download することができます.

日程については,セミネール予定表を御覧ください.詳細ついては,お問い合わせください.


以下は,2016年10月16日に行われたラカン読解ワークショップに関する告知文です.

2016年秋の特別企画
東京ラカン塾ワークショップ: ラカンへの回帰
Workshop de l'Ecole lacanienne de Tokyo : Retour à Lacan
– 翻訳や解説ではなく,Lacan のテクストそのものをみづから読んでみよう!

日時 : 2016年10月16日 (日曜日), 10:00 - 18:00
場所:文京シビックセンター内 3 階 C 会議室
申込は Contact
当日取り上げられるテクストの原文と英訳と邦訳の download はここから

1950年代,Lacan は,彼の教えの出発点に,retour à Freud[フロィトへの回帰]の標語を掲げました.なぜ,わざわざそうしたのか?

当時,精神分析の主流を成していた ego psychology[自我心理学]を標榜する分析家たちは「無意識」や「死の本能」などの Freud の諸概念をそれらの本質において省みること無く,かくして,精神分析は単なる心理療法や therapy のなかの一技法へ堕していました.したがって,精神分析をその真理において取り戻すためには,まずは,精神分析の創始者 Freud のテクストを Freud が書いたとおりにドイツ語で読み直すことから再出発しなければならない.それが Lacan の「フロィトへの回帰」の意図です.

Lacan の没後35年がたった今,世界的に,lacanien[ラカン派]を標榜する精神分析家たちについて,かつての自我心理学の信奉者たちと同様のことが妥当しています.難解な Lacan のテクストをみづから読解しようと努力することを怠り,Jacques-Alain Miller を始めとする解説者たちによる出来あいの説明を鵜呑みにし,オウム返しするだけ.その結果,ラカン派を自称する精神分析家たちが新たな自我心理学へ陥る危険性が生じてきています.

かくして,精神分析をその真理においてみづから思考し直すために,今や retour à Lacan[ラカンへの回帰]のスローガンを掲げるべき時です.

Lacan は,フランス語で語り,書きました.フランス語が読めないことを理由に,英語や日本語の翻訳や解説を読んでいるだけでは,本当に Lacan と取り組むことはできません.

そも,翻訳者や解説者の大多数は,みづから精神分析を経験していないので,Lacan が何について語っているのかを身をもって経験することができていません.既成の翻訳書や解説書が幾多の誤訳や無理解を含んでいるのは,おもにそのためです.

また,Lacan が用いるフランス語表現に含まれる本当の意義を訳文から読み取ることは,原理的に言って,不可能です.

確かに,Lacan のテクストは,フランス人にとってさえ理解困難であり,その読解には多大な努力が必要です.また,日本語を母国語とする者がフランス語を習得するにも,それなりの努力が必要です.しかし,努力を惜しんでいては,Lacan をみづから読むことはいつまでたってもできません.

そこで,東京ラカン塾では,Lacan のテクストをみづから読み解く訓練の機会を,いわゆる workshop の形式で提供することにしました.

Lacan のテクストのどの一節を読むかは,作業者各人の選択にまかせます.適当な一節を選び出すのが困難であれば,わたしが助言します.

ほかの参加者の参考となるよう自分の読解作業過程を提供してもよいと思う方は,申込の際にその旨を書き添えてください.

参加申込は Contact へ.

小笠原晋也

Programme


小笠原晋也 (Shinya Ogasawara)
En guise d'introduction : Déchiffrer la Lituraterre
Le texte et le vidéo

鬼丸康太郎 (Kotaro Onimaru)
"Réponse au commentaire de Jean Hyppolite sur la Verneinung de Freud" dans le Séminaire I

福田肇 (Hajime Fukuda)
"Démontage de la pulsion" et "La pulsion partielle et son circuit" dans le Séminaire XI

木村智也 (Tomoya Kimura)
"Subversion du sujet et dialectique du désir dans l'inconscient freudien" (Écrits, pp.815-821)

工藤庄平 (Shohei Kudo)
"Analyse et vérité ou la fermeture de l'inconscient" dans le Séminaire XI

もうひとり,何時に会場に来れるか今のところ確約できない方が,Position de l'inconscient について発表します.
Une autre personne qui ne peut pas promettre pour le moment quand elle arrivera à notre atelier, fera son exposé sur la Position de l'inconscient.


Lacan のテクスト Lituraterre は,こちらから download することができます.

そのほか,発表において取り上げられるテクストと Freud の Die Verneinungの原文と英訳と邦訳は,こちらから download することができます.

また,Séminaire XI の13-14章を取り上げる発表者は,Freud のふたつのテクスト Entwurf einer PsychologieTriebe und Triebschicksaleを参照文献に指定しています.それらの原文,英訳,邦訳は,こちらから download することができます.同じ folder には,Séminaire XI の原版(ポケット版でない方)と,その英訳と邦訳,および Staferla 版も収められています.必要な方は御利用ください.